要注意!電話代行サービス導入時に見落とされがちな“セキュリティリスク”とは?

“便利さの裏”に潜むセキュリティリスクとは?

電話代行サービスは、人手不足の解消や業務効率化に直結する外注手段として、多くの企業や個人事業主に活用されています。
しかし、その一方で、見落とされがちなのが「セキュリティ」です。

導入前にここを見誤ると──
「顧客情報が外部に漏えいしてしまった」「電話の内容が無断録音されていた」「競合に情報が流れた」など、取り返しのつかないトラブルにつながることも。

まずは、なぜ電話代行サービスにセキュリティリスクがあるのかを整理してみましょう。

電話代行サービス=“情報の預け先”

電話代行サービスとは、自社の代わりに、外部のオペレーターが顧客の電話に対応する仕組みです。
このときオペレーターは、以下のような機密性の高い情報を日常的に取り扱うことになります。

受電で扱われる可能性のある情報リスクの種類
顧客氏名・電話番号・住所など個人情報個人情報保護法違反・信用失墜
商談の内容・取引金額業務上の機密漏洩
企業の内部事情・課題競合他社への情報流出

これらの情報は、メールやチャットよりも“気軽に口頭で伝わってしまう”ため、
セキュリティ面でのコントロールが効きづらいのが電話対応の難点でもあります。

安さ重視の業者こそ注意が必要

「月額980円で利用可能」「1件150円〜」といった価格の安さを売りにしている業者の中には、
セキュリティ体制や社内教育にコストをかけていないケースもあります。

たとえば──

  • アルバイトや在宅スタッフが個人スマホで対応している
  • 録音データの保存体制が不透明
  • 通話情報がクラウド共有されており、アクセス権の管理が甘い
  • 退職者や委託業者がそのままデータを持っている

といったケースでは、情報漏洩リスクが極めて高くなります。

セキュリティトラブルの実例とその影響

「うちは小さな会社だし、そこまで神経質にならなくても…」
そう思っていた企業が、電話代行サービスを通じた“情報漏洩”や“信用失墜”に直面するケースが実際にあります。

ここでは、電話代行サービスの利用によって発生した代表的なトラブル事例と、その具体的な影響を見ていきましょう。

事例1:営業秘密の流出

状況:
新商品の発表に向けた取引先との調整内容を、電話代行サービスのオペレーターが誤って別の顧客に話してしまった。

原因:
複数企業を並行して担当していたオペレーターが、スクリプトや内容を取り違えた。

影響:
競合に情報が流出し、先に類似製品を発表されてしまった。

教訓:
業務範囲の明確化と、担当の専属化が不可欠。また、業種や内容によっては守秘義務の再確認も必須。

事例2:顧客リストの誤送信

状況:
電話対応の報告をメールで受け取っていたが、他社の顧客情報が記載されたレポートが誤送信された。

原因:
レポートを手作業でまとめていたため、宛先や内容に人的ミスが発生。

影響:
個人情報保護法違反の疑いがかかり、監督官庁からの注意・指導を受ける。顧客への謝罪・対応に追われる。

教訓:
自動化された安全な情報共有ツールの導入や、Wチェック体制が必要。

事例3:対応通話の録音流出

状況:
クレーム対応の電話内容が、SNS上に無断で音声ファイルとしてアップされていた。

原因:
一部のオペレーターが在宅勤務で個人PCを利用しており、セキュリティ管理がずさんだった。

影響:
ブランドイメージの毀損、該当顧客との訴訟リスクが発生。

教訓:
録音データの保存・共有ルールや、端末の管理ルールが整備されていない業者は危険。

このような事例からもわかる通り、価格の安さよりも“情報を安全に扱えるかどうか”が契約判断の肝になります。

安全なサービスを見極める7つのチェックポイント

セキュリティに強い電話代行サービスかどうかを見極めるには、単に「安心です」と書かれているだけでは不十分です。
以下のようなチェック項目をもとに、契約前にしっかり確認・比較しましょう。

チェック1:情報管理体制が明記されているか

サービスの公式サイトに、個人情報保護方針(プライバシーポリシー)やISMS取得の有無など、情報管理の体制が明示されているかを確認します。
特に以下のような表記があると信頼性が高まります:

  • ISMS(ISO/IEC 27001)認証の取得
  • Pマーク(プライバシーマーク)の取得
  • 管理責任者の設置
  • 第三者によるセキュリティ監査の有無

チェック2:オペレーターの雇用形態と教育体制

アルバイト・在宅オペレーターが多い業者では、情報漏洩リスクが高まります。
以下のような点を確認しましょう:

観点確認したい内容
雇用形態契約社員や正社員中心か/外注委託か
教育体制マニュアル完備・定期研修・守秘義務契約の有無
スクリプト運用固定スクリプトかカスタム対応か

チェック3:通話の録音・保存・共有の取り扱い

  • 通話内容は録音されるのか
  • その録音はどこに保存され、誰がアクセスできるのか
  • 音声ファイルの取り扱い方針(削除期間や暗号化)

これらを明文化しているか否かは、業者の情報管理に対する意識の差が出るポイントです。

チェック4:データ通信の安全性(SSL、VPNなど)

電話応対後の報告がメール・クラウドなどで共有される場合、通信経路の暗号化(SSL)やVPN接続がされているかを確認してください。
“平文メール”や“Googleスプレッドシート共有”だけだと、盗聴や誤送信のリスクが非常に高いです。

チェック5:利用規約・契約書の内容に“責任の所在”が明記されているか

トラブル発生時にどこまで責任を負ってくれるのか、以下の点を契約書で事前に明確化しておきましょう:

  • 漏洩・誤送信時の補償範囲
  • オペレーターによる誤対応の責任所在
  • 解約時のデータ消去ルール

チェック6:顧客ごとの業務区分が適切か

複数社を同時に扱っている代行業者では、担当オペレーターの混同による情報錯誤が起こりやすくなります。
「企業ごとにログインID・内線番号・スクリプトを完全に分けているか」も大きなチェックポイントです。

チェック7:第三者によるレビューや評判

  • 比較サイトでのレビュー
  • SNS・Googleレビューなどでの口コミ
  • 競合他社が使っているかどうかの実例

実績がある業者は、セキュリティ対応についても評価されていることが多いため、確認は必須です。

セキュリティ重視で選びたい業種・シーン別の注意点

電話代行サービスを導入する企業の中でも、特にセキュリティ意識が重要な業種・シーンがあります。
ここでは、具体的な業種や利用目的別に、注意しておきたいセキュリティの落とし穴を整理します。

医療・介護系事業者

想定されるリスク医療情報や家族構成など“要配慮個人情報”の漏洩
要チェック項目医療業界の対応実績/守秘義務契約の有無/録音管理体制

カルテ情報までは扱わなくても、「患者の名前・通院状況・予約時間」など、十分に機微な情報が含まれる点に注意。

士業(弁護士・税理士・行政書士など)

想定されるリスク法的トラブル案件に関する機密情報の取り違えや漏洩
要チェック項目顧客別スクリプトの厳密な運用/対応担当者の限定性/会話の正確性

一語の取り違いが後のトラブルに直結するため、オペレーターの“文章力・理解力”にも要注意。

不動産業・建築業

想定されるリスク高額取引(売買価格・契約予定)の情報流出
要チェック項目物件番号ごとの管理/スタッフ教育の充実度/業界知識の有無

物件名や価格情報が漏れた場合、競合他社への流出・価格操作の可能性も出てくる。

BtoC系EC・通販事業者

想定されるリスク顧客の購入履歴や住所・支払い方法の漏洩
要チェック項目CRMや在庫情報との連携方法/サーバー管理の堅牢性/FAQの取り扱い方針

大量の顧客データを抱える事業者は、代行会社に預ける“データの範囲”を明確化し、アクセス制限をかけることが必須です。

新サービス立ち上げ・スタートアップ

想定されるリスクコンセプトや顧客ターゲット情報の競合流出
要チェック項目NDA(秘密保持契約)の締結/担当者の専属性/商談ヒアリング時の制限

“未発表”の段階こそ最大のリスクを抱えるため、外部委託には特に慎重になるべきフェーズです。

このように、業種・事業フェーズごとにリスクの形は異なります。
自社にとっての“守るべき情報”を明確にしたうえで、それに見合うセキュリティ水準の業者を選びましょう。

まとめ|“安心できる外注先”を見極める力とは?

電話代行サービスは、業務効率化や顧客対応の質的向上に貢献できる強力なツールですが、
その一方で、情報漏洩や誤対応といったセキュリティリスクも内包しています。

特に、以下のような特徴を持つ企業は注意が必要です。

  • 顧客情報や営業秘密を扱う業種
  • クレームやトラブル対応を任せる想定
  • ブランドや信頼が重要なビジネスモデル

これらに該当する企業は、価格だけで業者を選ぶのではなく、“情報の取り扱い姿勢”を最優先に評価すべきです。

最低限、チェックすべきポイント

チェック項目具体的な確認内容
情報管理方針ISMS/Pマーク/契約書内容
オペレーター体制雇用形態・研修制度・業務範囲の明確化
通話・情報共有録音保存・通信の暗号化・誤送信防止策
契約時の責任所在トラブル発生時の補償・対応方針

「安いけど危ない」と「少し高くても安心」を見極めよう

電話代行サービスの“価格差”には、こうしたセキュリティ水準の差が反映されていることが多いです。
単なるオペレーションコストではなく、「誰に情報を預けるのか」という視点で選びましょう。

情報漏洩は一度でも起きれば信用を取り戻すのに何年もかかります。
そのリスクを最小限に抑えるためにも、“信頼できる外注先”かどうかを見抜く目が求められます。

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